交通事故の被害者が未成年だった場合の慰謝料請求

交通事故の被害者になる人は、大人ばかりではありません。子供が交通事故の被害者になってしまうこともあり得ます。この場合大人が被害者の場合と異なり、損害賠償請求をする場面で何らかの制限があるのではないかと考える人もいるでしょう。

では、損害賠償請求する場合、未成年者本人がこれを請求することができるのでしょうか。また、平均賃金や症状固定の問題を知っておいた方が良いです。

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未成年者単独では基本的に損害賠償請求をすることはできない

交通事故の被害者になった場合は、被害者自身が相手に対して損害賠償請求や慰謝料請求をするのが基本になります。ところが、被害者が未成年の場合には法的な制限があるため、未成年者が慰謝料請求をすることは制限されます。

制限を定めた法律の根拠としては民法818条になります。818条は、20歳未満の子は父母の親権に服するという内容です。これは、未成年者の行為能力が制限されることを意味しています。

行為能力が制限されるならば、未成年者自身が損害賠償請求をすることが出来ないと考えられ、未成年者の代わりに損害賠償請求をする代理人が必要になるところです。

未成年者の代理人になりえるのは、普通なら両親になります。両親が法定代理人として未成年者と共同して慰謝料請求や示談を行っていくことが必要です。もし、両親が離婚している場合や死別している場合は、片方の親だけで行うことが可能になります。

両親がいない場合は、未成年後見人が交通事故の損害賠償請求を相手方に対してすることになるでしょう。関連:交通事故 相談|アディーレ法律事務所

ここで言う未成年後見人とは、未成年者の代わりに法的な行為をすることができる人です。未成年後見人になりえる人は、未成年者の親族のことが多いですが、親族以外の人でも後見人になることはできます。例えば、弁護士がこれに当たります。

弁護士ならば誰でも良いわけではなく、未成年者の後見人に詳しい人を選ぶことが大事です。ただ、未成年者にも、生まれて1年も経過していない0歳から、もうすぐ成人することになる19歳までいるため、年齢によって対応の仕方が異なってきます。

生まれてそれほど時間が経過していない1歳程度の子供や、小学生・中学生ぐらいの場合には確実に大人の誰かが未成年後見人になることが必要になります。ですが、19歳ぐらいならば大人とほとんど変わりがないため法定代理人の同意があれば未成年者自身で法律行為を行うことが可能です。

ちなみに、未成年の場合でもすでに結婚している場合には成人として扱われることになり、単独で交通事故の損害賠償請求をすることが出来ます。

示談交渉する場合における成人との未成年の違い

交通事故の被害者になった場合には、損害賠償請求をすることが可能になります。例えば、成人の場合には交通事故で入院してしまい働くことができなければ、働くことが出来なかった分のお金を請求することが可能です。本来交通事故に遭わなければ、その時間帯は働いてお金を稼いでいたからです。

ただ、この理屈で考えてしまうと、まだ仕事をしていない未成年者の場合には経済的な損失がないと考えられ、損害賠償請求の金額が減ってしまうこともあります。この点に関しては、未成年者にも何らかの損失があるとしてそれをお金に換算していきます。

例えば、未成年者の中でも 18歳以上の場合には、平均賃金と呼ばれるものを用いることになります。平均賃金で知っておきたいことは、だれが被害者であっても一律にもらえる金額は同じになることです。

未成年の親が自分の慰謝料請求をすることができるか

未成年者が交通事故の被害者の場合、親がいれば親にも何らかの損害が発生しているでしょう。親の立場からすれば、子供は宝物と考えている人も多く、そんな子供がある日突然交通事故に遭っていまったとすれば、精神的なショックは計り知れません。

そこで、親が精神的な被害を受けているとすれば親の分の慰謝料請求も可能になります。

ただこの場合にも一定の条件があり、被害者が亡くなってしまったことが条件の一つと言えるでしょう。必ず認められるとは言い切れませんが、請求をすればその請求が認められる可能性も高いです。

子供の責任能力によって損害賠償の金額が異なる

交通事故においては、加害者に100パーセントの責任があれば被害者はお金を加害者に対して支払う必要はなく一方的に請求するだけになります。ところが、被害者にも落ち度があることも少なくありません。この場合には、加害者の過失と被害者の過失をそれぞれ算出して、相殺することになるわけです。

例えば、加害者の過失が 7で被害者の過失が3だとした場合、両方を相殺していきます。その結果残ったのは加害者側の過失4の部分だけになるため、その部分だけを相手に対して請求することになります。問題は、未成年者の中にも責任能力がほとんどないケースがあることです。

いくら未成年者といえども、2歳児や3歳児はまだ責任能力があるとはいえず、例えば被害者側が道路に飛び出したことが原因で交通事故が発生した場合でも過失は一切ありません。そのため、相殺せずにお金を請求することが可能になります。

ちなみに、両親や祖父母が子供のそばにいる場合には、大人が目を離したことにより子供が道路に飛び出すなどの事故の原因を作ったともいえるわけです。そのため、子供を監視していた両親や祖父母などの大人に過失があると認められた例もあります。

そうだとすれば、この場合は相殺できる可能性が高まります。では、子供はいつから責任能力があるといえるようになるのでしょうか。基本的には、5歳か6歳ぐらいで「事理弁識能力」があると判断されるケースが多いです。

この場合には、子供側に過失を認めて相殺してもよいとする最高裁の判例があります。

示談交渉の場面で知っておきたい「症状固定」とその注意点は

交通事故が原因で未成年者がけがをした場合、示談交渉に入ることは珍しくありません。示談交渉の前の段階で、けがを治療してもある程度までよくなりその後ほとんど変化がなくなることがよくあります。これを症状固定といます。

症状固定をした後は、慰謝料の額が決まりその金額を示談交渉時に請求できることになります。ところが、大人と異なり未成年の場合には身体が未発達な部分もあり、症状固定が決定した後に体調がさらに悪化することもあり得るでしょう。

そうすると、症状固定の時期が早すぎたことにより、損をすることも考えられます。そのため、どの段階で症状固定をするかがとても重要になります。素人が判断しても難しいことが多いため、専門家から話を聞いてみることが重要です。